4年に1度人々が熱狂するオリンピック!昨年、東京2020 夏季オリンピックが開催されました。その後、障がい者スポーツの頂点とも言われるパラリンピックの時がやってきました。アスリート達が日頃練習してきた成果を発揮し、障がいを乗り越えた先にある栄光を掴み取るための挑戦の場です。パラリンピックの歴史や競技種目と2022北京パラリンピック(第13回冬季パラリンピック)についてご紹介します。
2022年冬季パラリンピック
記憶に新しいと思いますが、2020夏季パラリンピックの大会セレモニーの演出で車いすに乗った片一方の翼が無い(片翼の)少女が困難を乗り越え、挑戦する姿を見る事が出来ました。選手の勇気と挑戦を称えたものでした。
もう1つのオリンピックとは、障がい者を対象としたパラリンピックです。あれから約半年、2022年2月20日冬季オリンピックも終わり、大会に夢中で寝不足になってしまった方も多かったと思います。
実は冬季パラリンピックがこれから始まります。今回も夏季パラリンピック同様にアスリートたちの活躍と挑戦・感動を見る事が出来るのは嬉しいです。
パラリンピックとは
国際パラリンピック委員会(International Paralympic Committeeの略称:IPC)が主催する、身体・脳性麻痺・視覚・知的障がい者を対象とした障がい者スポーツの総合競技大会です。このパラリンピックは、オリンピックと同じ年に開催されます。
日本では厚生労働省所管でしたが、平成26年度文部科学省に移管されてオリンピックと一元化が図られることになりました。福祉から日本障がい者スポーツ協会を中心に、日本パラリンピック委員会が設立されて日本選手団の派遣事業を行っています。
パラリンピックの誕生
1948年7月29日にロンドンオリンピック開会式が行われました。同日にイギリスの病院で行われたアーチェリー競技大会が、パラリンピックの始まりとされています。戦争で負傷した兵士たちのリハビリとして、スポーツを中心理念として始められています。
第二次世界大戦で脊髄を損傷した軍人リハビリの専門科がストーク・マンデビル病院にあり、ドイツから亡命したルートヴィヒ・グットマン医師の提唱により、車椅子使用入院患者男女16人(男子14・女子2)によりアーチェリー競技会が行われました。
毎年続けられていた車椅子入院患者のみの大会が国際大会になり、1952年に第1回の競技大会が開催されました。1960年に国際ストーク・マンデビル大会委員会組織が設立されグットマン医師が初代会長となり、この年のローマオリンピックが第1回パラリンピックと言われています。
夏季パラリンピック競技種目
パラリンピックにもオリンピックと同じく夏季と冬季とがあります。それぞれ競技内容に違いがあるので、先に夏季に開催される種目についてご紹介します。
〇車いすバスケットボール ⇒ 車椅子に乗りながら行うバスケットボールです。
〇車いすテニス ⇒ 車いすを操作しながら行うテニスです。
〇車いすラグビー ⇒ 専用の車いすを使いながら行うラグビーです。
〇車いすフェンシング ⇒ 車いすを固定しながら行うフェンシングです。
〇アーチェリー ⇒ 70m離れた的に矢を放ち得点を競い合います。
〇パワーリフティング ⇒ ベンチプレスを持ち上げて下肢障がいの選手たちが競い合います。
〇陸上競技 ⇒ 障がい別にクラス分けされて車いす競技はレーサーと言われる専用の車いすで競います。
〇卓球 ⇒ 障がいの種類によってクラス分けされた卓球競技です。
〇ボッチャ ⇒ 赤と青のボールがジャックと呼ばれる白いボールにいかに近づけられるかを競う競技です。
〇射撃 ⇒ ピストルやライフルなどの銃で射撃して得点を競い合います。
〇水泳 ⇒ 障がいの種類によってクラス分けされた水泳競技です。
〇ゴールボール ⇒ 視覚障がいの選手が1チーム3名で目隠しをしながら行う競技です。
〇5人制サッカー(ブラインドサッカー) ⇒ 視覚障がいの選手による5人制のサッカーです。
〇7人制サッカー⇒脳性まひの選手による7人制のサッカーです。
〇シッティングバレーボール ⇒ お尻の一部を床につけたまま行う6人制のバレーボールです。
〇自転車競技 ⇒ 切断・脳性まひ・視覚障がいの選手が専用の自転車で競い合います。
〇柔道 ⇒ 視覚障がいの選手たちが行う柔道です。
〇セーリング ⇒ ボートを決められたスタートラインからゴールまでのスピードを競い合います。
〇テコンドー ⇒ 東京パラリンピックからの新競技です。
〇トライアスロン ⇒ 東京パラリンピックからの新競技です。
〇馬術⇒馬に乗って正確性と芸術性を競う競技です。
〇バドミントン ⇒ 東京パラリンピックの新競技
〇ボート ⇒ 東京パラリンピックの新競技
〇カヌー ⇒ リオパラリンピックの新競技
北京2022年パラリンピック
2022年3月4日北京パラリンピックは選手およそ600人を迎えて、第13回冬季競技大会が開幕します。夏・冬両季パラリンピック開催は北京が初の都市となります。3月4日〜13日の10日間にわたって、アルペンスキー・クロスカントリースキー・バイアスロン・スノーボードの4競技29種目で熱戦が繰り広げられます。
競技種目と障がい内容
国際スキー連盟(FIS)の規定に準じ、障がいの特性を考慮してパラリンピックのスキー競技は一部変更されています。
【アルペンスキー】
⇒「滑降・回転・大回転・スーパー大回転・スーパー複合」の種目が、障がいにより「立位・座位・視覚障がい」に分けて行われます。下肢障がいや視覚障がい、その他様々な選手の方々が、チェアスキーや義足・1本のスキー・ガイドの声や音の誘導でコースを滑ります。
【バイアスロン】
⇒ 長距離スキーと射撃を組み合わせた競技で、実測タイムに障がいの程度に応じて設定されている係数を掛けた計算タイムにて競い合うというものです。「立位・座位・視覚障がい」に分けられ、滑る距離によって「ショート・ミドル・ロング」があります。
立位と座位はエアライフルを使用して、10メートル先の的を射撃します。視覚障がい選手はヘッドホンを着用して、標的照準に近づくと聞こえる周波数音を聞き分けて、ビームライフルを使って狙いを定めます。
【クロスカントリースキー】
⇒ クラシカルとスケーティング等、スキーを左右交互に滑らせて行う自由な走行ができるフリーの2種類で、冬季パラリンピック第1回から実施されている競技です。この競技は優れた持久力と滑走テクニックから「雪上のマラソン」とも言われます。
障がい程度や男女障がい別に設けられた係数の計算タイムで順位を決めます。シットスキーは障がいに合わせてオーダーメイドしてスピードや軽さを重視したものが多く、1km・5〜10kmの中距離・20kmの長距離種目で1チーム4選手の係数合計が勝敗を決めます。
視覚障がい選手は目でコースを確認することができない為に、選手を導くガイドがいます。選手の前でコーナーやコース状況を伝えながら、立位のクラシカルとフリー走法で一緒に滑ります。
【スノーボード】
⇒ こちらの競技は、障がい者がスノーボード競技に参加できるようにルールや技術等を変更・修正した種目です。2014年ソチ大会において、アルペンスキーの新種目としてスノーボードクロス(立位・男・女)が採用され、2018年平昌パラリンピックで正式競技となりました。
上肢障がい(SB-UL・手首以上)と下肢障がい(SB-LL1・膝上)や(SB-LL2・膝下)の障がい程度にクラス分けして、スピードを競います。スリルある展開が魅力の「スノーボードクロス」と、旗門をクリアしながら滑降タイム順位を争う「バンクドスラローム」のベストタイム3回滑走で競います。
【その他】
冬季パラリンピック競技種目に下肢障がい者のために、アイスホッケーのルールを一部変更して行われる「アイススレッジホッケー」と車いす使用者を対象とした「車いすカーリング」があります。
両競技日本は予選敗退した為、今回の北京パラリンピックに出場することが出来なくなりました。
まとめ
パラリンピックは、選手の活躍する姿が世界中の方や障がいを持つ方々に勇気と感動を与えます。日本パラリンピック委員会と日本障がい者スポーツ協会の夏季・冬季パラリンピック競技大会、選手派遣や強化取組みが実りと成功に繋がるよう、これから始まるパラリンピック選手の活躍に期待し応援しましょう。