最近SNSなどでときどき話題になる「ヘルプマーク」、どんな意味があって、どんな人が持っているのか、知っていますか?私のまわりにはヘルプマークを所持している人をまだ見たことがないのでそんなになじみはないですが、よくネットで見かける話題だったので、ヘルプマークについて情報をまとめてみました。
ヘルプマーク・ヘルプカードとは?
ヘルプマークとは、見た目ではわからない障害や疾患を抱えていて、支援や手助けが必要であるということを周りに意思表示するためのものです。
2012年から東京都で配布を開始し、その後全国各地の自治体に広まっていきました。
赤い下地に白字でプラスとハートの2種類のマークが書かれていることが特徴で、人の目につきやすい所にストラップやキーホルダーなどで身に着けて意思表示をします。
「電車やバスで席を譲ってもらうためのマーク」として誤解されて広まっているようですが、意味はそれだけではありません。
電車やバスで席を譲ってもらいやすくすることはもちろんですが、外で倒れたときや事故に巻き込まれたときなどに、まわりの人に適切に対処してもらうためでもあるのです。
また、ヘルプマークとは別に日常生活で困ったときや災害時に必要な支援情報を記載しておくためのヘルプカードというものもあります。
ヘルプマークのように身に着けるものではなく、常に携帯し、気分が悪くなったときや疾患による発作が起きたとき、災害時の避難の際に支援者に提示します。
このカードも全国各地の自治体で配布されています。
ヘルプカードという名称以外にも「SOSカード」や「防災手帳」という名前で配布していますので、居住地の自治体に確認してみてください。
どんな人が対象なの?
どんな人がヘルプマークを持っているのかというと、難病や内部障害の方、人工関節や義足を使用している方など、一見健康そうでも実際には支援が必要な方が所持しています。
ヘルプマークの対象者については、細かい基準があるわけではありません。支援や配慮が必要なすべての方が対象です。
主に内部障害の方の他にも、精神障害や発達障害・知的障害・妊娠初期の方も対象になります。
ヘルプマークの入手先は?
まず自分が住んでいる地域の自治体がヘルプマークを導入しているか確認しましょう。
自治体によってそれぞれ配布場所が違いますが、主に障害福祉課の窓口や障害者福祉センター、地下鉄内の駅務室で配布されています。
地域によっては配布場所が少ない場合もありますので、郵送に対応してくれるかどうかも調べておきましょう。
ヘルプマークを入手する際、障害者手帳や診断書は必要ありません。
ただし、交付申請書を提出しなければいけない自治体がありますので、居住地の自治体に確認してみましょう。
配布場所に行くことができない方や、居住地の自治体がヘルプマークを配布していない場合、東京都のヘルプマーク制作・活用ガイドラインに従って自作することが可能です。
自作する場合は東京都の福祉保健課のホームページを確認するか、電話で問い合わせてみましょう。
ヘルプマークを所持している方を見かけたら?
ヘルプマークを所持している方は、見た目ではわからない障害を抱えている方がほとんどです。電車やバスなどで立ったままつり革や手すりにつかまり、同じ体勢を維持することが難しい方もいます。
ヘルプマークを所持している方を車内で見かけたら席を譲ってあげましょう。
公共交通機関の事故などで柔軟に対応できない方や、席から立ちあがる・歩く・階段の上り下りなどが困難な方がヘルプマークを所持しています。
そういった方を見かけたら、ぜひ声をかけて助けが必要か確認してください。
加えて災害時に視覚・聴覚・知的障害など状況判断の難しい方や、迅速に避難することが難しい障害者がまわりにいるときにも援助をお願いします。
「支援します」の意思表示カード
支援が必要な方たちが「必要なときに支援をしてほしい」という意思表示をするためのヘルプマークとは別に、「助けてほしいことがあれば声をかけてください」という意思表示をするための「逆ヘルプマーク」や「サポートハートマーク」というマークの制作も広がり始めています。
障害のある兄弟を持つ小学生の女の子を中心に、チーム4人が考案した「逆ヘルプマーク」はヘルプマークとデザインは同じですが、下地が緑色になっています。
また、福祉を学ぶ大学生チームが考案した「サポートハートマーク」というマークもあります。
こちらはインターネットで無償ダウンロードが可能です。
ヘルプマークの問題点
全国各地に広まりつつあるヘルプマークですが、まだまだ認知度が低いようです。
マークの意味を誤解して広まっていることもあり「ただの障害者アピール」や「甘え」などと受け取る人も多いようです。
またヘルプマークは基本的に自治体が無料配布しているものです。
とは言え自治体や配布先が少ない地域も多くあるため、移動が困難な方がインターネット上で転売しているものを買うケースも多いようです。
しかし、これでは本来必要としている方の手に渡らない、転売目的で購入する方が増えるという問題が発生しています。
最後に
私は視覚障害者です。普段は白杖を使い日常生活を送っています。
障害を持ち、補装具を使用し生活している障害者も日常で不便を感じていたり、心無い人からの言葉に傷つく経験を持っている方も多いでしょう。
幸い、私はSNS上で見るようなひどい出来事に遭遇することなく生活を送れていますが、少なからず嫌な思いをした経験があるため、ヘルプマーク所持者の気持ちは少しだけわかる気がします。
でも、私がこうしてある程度快適に生活できているのも、過去に声を上げ、制度を作り、広めてきた方達のおかげだと思っています。
ヘルプマークができてからまだ歴史も浅く、問題点や課題点はたくさんあると思いますが、利用者や支援者とで協力し、認知度の向上と見えない障害についての理解者が増えていくことを願い、記事にまとめてみました。
まぁ、ほんとは「意思表示マークなんてなくても助け合える社会」が一番なんですけどね。