障害者支援サービス事業所には、就労移行支援や就労継続支援A型とB型があり、違いは周知しているつもりでも、まだよく理解できていないところがあります。就労移行支援と就労継続支援A型について調べたことを紹介します。
一般就労支援と福祉的就労支援
就労支援は、障害者総合支援法を基本とする障害福祉サービスです。一般就労への移行に向けた支援(一般就労支援)と一般就労が難しい障害者の就労に向けた支援(福祉的就労支援)になります。一般就労支援への就労移行支援サービスと福祉的就労支援への就労継続支援サービスとしての就労と就職は意味合いが異なります。
〇就労支援 ⇒ 就職に必要な職業訓練や就労する上で安定して必要なスキルや、能力を身につける訓練を提供して自立することです。
〇就職支援 ⇒ 職業紹介・職業訓練など就職活動の支援するもので就職に繋がります。
就労移行支援・就労継続支援A型
就労移行支援は、障害者への職業訓練制度で、一般就労を希望する方に知識・能力の向上・実習・技術習得・職場探し等を通じて、自己の適性に合った職場への就職サポートをします。
雇用契約はなく、一般企業への職場実習を除き、賃金や工賃がありません。生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯を除き、利用料金の自己負担が発生することもあります。就職後の職場定着支援と言う厚生労働省令の定めがあり、利用期間は2年となっています。
就労継続支援A型は、一般企業への就職が難しい障害者や難病を抱える方に働く場所を提供し、18歳以上65歳未満の方に、雇用契約を結び一定の支援を受けながら働く場と社会的スキル向上を提供します。
就労移行支援や就労継続支援A型双方とも障害者手帳がなくても利用することはできますが、医師の診断書や通院証明があれば利用可能です。利用料金が発生することがあり、世帯所得額や家族全員の収入状況によって異なります。
就労支援の目的と条件の違い
就労移行支や就労継続支援の目的と条件の違いは次の通りです。
【目的】
就労移行支援は、一般企業で必要なビジネスマナーやスキルを身に付けて、就職活動や職場体験を得て就職できるような、サポートとして就職後の就労定着支援を受ける事ができ、企業への就労を目的としています。
A型事業所は、一般企業や会社・事業所に就職が難しい方へ雇用契約を結んで、働く場所を提供して就職に必要な知識やスキルの習得が目的です。一般企業に就職や採用されるケースもあります。
B型事業所は、障がいや体調に合わせて自己ペースで働くことができ、賃金や報酬はありませんが、将来就労継続支援A型に移行できる可能性もあり、賃金の収入を得ることなどを目的とします。
【違い】
就労移行支援 ⇒ 対象者：就労を希望
年齢 ⇒ 65歳未満・雇用契約 ⇒ なし
工賃(月額平均工賃) ⇒ なし。
就労継続支援A型 ⇒ 対象者：企業等への就労や継続的に就労することが困難な者
年齢 ⇒ 65歳未満
雇用契約 ⇒ あり
工賃(月額平均工賃) ⇒ あり。
就労継続支援B型 ⇒ 対象者：企業等への就労や継続的に就労することが困難な者
年齢 ⇒ 条件なし
雇用契約 ⇒ なし
工賃(月額平均工賃) ⇒ なし。
事業所利用者と障害別割合
令和元年厚生労働省の資料によると就労支援事業所は、14,751カ所あり利用者が約268,591人となっています。就労移行支援・就労継続支援A型・B型を利用している方の障害別内訳の割合は以下のようになっています。
〇就労移行支援事業所は、28,637人で(精神障害者約61%・知的障害者約20%・身体障害者約17%)です。
〇就労継続支援A型事業所は、46,446人で(精神障害者約60%・知的障害者約15%・身体障害者約23%)です。
〇就労継続支援B型事業所は、193,508人で(精神障害者約35%・知的障害者約30%・身体障害者約33%)です。
全国の障害者の総数は約788万人で就労移行支援制度の対象は約324万人とのことです。特別支援学校を卒業して就労移行支援などを利用した人の割合は、約61.7%の障害を持つ方が就労移行支援を利用しています。
就労移行支援から一般企業への就職(就労移行率)が20%以上の事業所が44%と年々上昇しています。割合全体から見ると、知的障害の方は実績を確認して、選ぶ必要があると言えます。
まとめ
就労支援には、就労移行支援や就労継続支援A型とB型のサービスがあり、条件の違いはありますが就労への意思や希望を持っている方が利用しています。就労継続支援A型やB型で、個人の適性に合った職場への就労を考える方や、就労移行支援を考える方がいます。
就労移行支援では、就職後に安定して働き続けるための、職場定着支援を受けることできることから、就職の近道として検討するのも良いと思います。
