私達視覚障害者がどうやってカラオケを楽しんでいるか知っていますか?
一緒に行く人との協力や便利な機器を使う事で、私達も健常者と同様にカラオケを楽しむ事ができるんです。
今回は、私の過去のカラオケ話から他の方の工夫、最近の便利アプリまで「視覚障害者とカラオケ」についてお話してみようと思います!
昔のカラオケ、歌うの結構大変でした!
子どもの頃から歌う事が大好きだった私は、学生時代も家族や友達とよくカラオケに行っていました。まず、弱視の私が子どもの頃、どうやってカラオケを楽しんでいたかというところからお話しましょう。
当時のカラオケはもちろんブラウン管テレビです。
現在のように大きな液晶テレビを見ながら座って歌う事はできません。
当然スマホもないので手軽に歌詞検索もできません。
毎回小さなブラウン管テレビの前に立ち、歌詞を読むため腰や膝を低くかがめた状態で歌っていました。
当時を思い出しても「あの状態でよく声が出たなぁ」と思いますし、
「ゲーム含め体を酷使してでも意地で好きな事してたなぁ」とこの記事を書きながら思い出し笑いしてます(笑)
また、大人になるとカラオケのあるバーやスナックのような場所に飲みに行く事もあります。
その時は従業員さんや職場の同僚に頼んで事前に歌詞を読んでもらいながら歌う事もありました。
他の人はどんな風に歌うの?
改めて思い出してみると、視覚障害者だけのカラオケ風景は、健常者にとっては面白い光景かもしれませんね。
なぜかというと、カラオケの楽しみ方や歌うための工夫がみんなそれぞれ違うからです。
私が学生だった頃は、曲目と曲の番号が一覧で書かれた大きな本を見ながら、
リモコンで番号を入力して送信するタイプのカラオケが主流でした。
そのため、曲の番号さえわかっていれば全盲の方でも操作が可能です。
実際、以前生活訓練施設で出会った方の一人に、歌詞と曲目の番号をすべて暗記してヒトカラに行くというすごい方がいました。
他にも自作の点字歌詞カードを持参する方、
以前の記事で書いたブレイルメモやブレイルセンスを持ち込んで膝の上で点字の歌詞を確認しながら歌う方、
音声読み上げ機能のついた携帯電話のスピーカーを耳に当てて操作しながら歌う方、
文字が読めない場合は画面の近くにいる見えている人に歌詞を読んでもらいながら歌うなど、
それぞれやりやすい方法でカラオケを楽しんでいます。
そして、これが私たちの普通の光景だったりします。
技術の進化はすごい!便利な機器とアプリ
最近では大きな曲目一覧本とリモコンはタッチパネル形式のデンモクにまとめられ、小さなブラウン管テレビは大きな液晶テレビに変化していきました。
文字は小さいけど大きな本と格闘して曲を選び、小さい画面に苦戦しながら歌っていた私にとっては多少便利になったような気がします。
ですが、全ての視覚障害者が使いやすくなったわけではありません。
私はタッチパネルのデンモクを何度か使う事で画面配置を覚え使えるようになりましたが、全ての弱視者がデンモクの文字が見え、使いこなせているわけではありませんし、そもそも全盲の方はデンモク自体が使えません。
カラオケの機種によってはマイクやBGMの音量調整、エコー調整がタッチパネルになっている事もあります。
私はこのタッチパネル形式の音量調整が苦手でちゃんと使えた事がありません。
これでは自分たちでカラオケを楽しむ事はできないですよね。
こういった視覚障害者からの声を受け、カラオケ機種メーカーやアプリ開発者が様々な機種やアプリを開発しています。いくつかご紹介しましょう。
点字カラオケシステム
日本テレソフトという会社から、カラオケの画面に出ている歌詞を点字ディスプレイで変換して表示するシステムが開発されています。
このシステムは、カラオケ本体とノートパソコンを接続し、歌詞を一度点字変換ソフトで点字に変換したあと、ノートパソコンに接続した点字ディスプレイに歌詞が表示されるようになっています。
設置している店舗は少ないようですが、東京に設置しているところがあるようです。
OTO-Mii(オトミー)
歌詞データを扱う株式会社シンクパワーが作成した無料アプリで、iPhoneやiPadに対応しています。
もともと鼻歌やラジオなどの音源から楽曲の検索をするために作られたようですが、視覚障害者からの「歌詞を把握しながら歌いたい」という声を受け、iPhoneのVoiceOverという音声読み上げ機能に対応しました。
歌詞の読み上げはもちろん、アーティスト名や曲名・歌詞・アルバム名などから楽曲を細かく検索する事ができる他、弱視者向けに画面の拡大や白黒反転にも対応しています。
また、JOYSOUNDのキョクナビと連携してスマホをカラオケリモコンとして使う事もできます。(情報が少なくてDAMに関しては情報を絞り込む事ができませんでした)
後々デンモクアプリとも連携されるといいですね!
最後に
「視覚障害者のカラオケ事情」というタイトルで、過去の話から最近のカラオケについて軽くまとめてみました。
最近のスマホの発展はすごいので、個人から企業まで様々なアプリが開発されています。今後も障害者にとって使いやすいアプリがたくさん出てくると思います。
私は、技術の発展で遊びやエンタメにハンディを感じる事なく楽しめる社会が来る事を願っています。