眼内レンズの選び方で見え方が変わる~知っておきたい白内障のこと

眼内レンズの選び方で見え方が変わる~知っておきたい白内障のこと

人の目は、よくカメラにたとえられます。その中で水晶体は目の中の透明なレンズの役割を担い、外からの光を集めて屈折させ、網膜に画像を映し出します。本来透明であるはずの水晶体が白く濁ってしまい、物がぼやけて見えにくくなる状態を白内障といいます。

今回は、白内障の種類や治療法。手術のときの眼内レンズ選びのポイントなどについてご紹介します。

 

白内障のおもな種類

白内障といえば加齢性(老人性)と思われるほどですが、白内障にはいくつかの種類があります。

 

発症率がもっとも多いのは、加齢(老人)性白内障で、早い方では40代から発症し、全体のおよそ90%を占めています。さらに、出生前に発症する先天性白内障や、強い衝撃を受けたことによる外傷性白内障、糖尿病性白内障などの合併して起こる白内障があります。

 

主な7つの症状は以下のとおりです。

1、光がまぶしく感じる

2、視界がかずむ

3、視力の低下

4、日中と夜間に見え方の違いが生じる

5、もともと持っている近視が進行してしまう

6、物が2重3重に見える

7、老眼などめがねが合わなくなることがある

 

段階による白内障の治療法

白内障の治療には段階に応じて、目薬による点眼治療と手術による治療があります。

点眼治療は、白内障の初期段階に行われますが、これは病気の進行を遅らせる目的のもので、水晶体の濁りを取り除くことはできません。そのため、進行がすすむと手術による治療になります。ここでは濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズに入れ替えます。そしてその大半は、局所(部分)麻酔による日帰り手術となり、肉体的経済的な負担も軽くなるようです。

 

次の項からは、眼内レンズの種類や白内障手術後の見え方について見てみましょう。

 

眼内レンズとは

それではまず、水晶体の代わりとなる眼内レンズについて見てみましょう。

 

水晶体の代わりとなる眼内レンズは、大きく分けて「単焦点眼内レンズ」「多焦点眼内レンズ」の2種類に分けられます。

これは、ピントを合わせたい距離を一つにしぼるのか、複数の距離にピントを合わせられるのかでわかれます。

 

単焦点眼内レンズ

これは、焦点を近く・中間・遠くに分け、どちらか一点に焦点を合わせるレンズです。

単焦点レンズ選びのポイントは、ご自身の生活の状態によります。例えばドライバーであれば、常に遠くを見るので遠くに焦点を絞ります。家事や事務仕事など常に近くに気を配ることが多い場合は、近くあるいは中間に焦点をしぼるという感じです。ただし、遠くに焦点を合わせるなら近視用メガネでのカバーが必要となり、近くに焦点をしぼるなら遠視用メガネが必要となります。

 

多焦点眼内レンズ

これは距離を先ほどのように3つに分けて、例えば近くと中間。中間と遠くといったように2点に焦点をしぼる方法と、3点ともにどこにでも焦点を合わせる方法にわかれます。

距離に関係なくピントを合わせる場合は、メガネの補助はいらないので、ストレスなく生活できるメリットがあります。

眼内レンズ選びのヒント

せっかくレンズを入れ替えるなら、補助のメガネを使わずに、どこにでも焦点を合わせられた方がいいと思う方が多いかもしれません。しかし、長い目で見た場合、メガネで補助しつつ生活スタイルに合わせた単焦点レンズがおすすめということも言われています。

メリットやデメリットをきちんと聞いて、ドクターの意見も参考にしながらご自身に合った眼内レンズを決められるのが良いかと思います。

 

手術後の見え方

白内障の手術を受けたあとは、すぐに見えるようになる方もいれば、1週間ほど時間がかかる場合もあります。その方の角膜や網膜の状態にもよると言われており、回復の度合いやスピードには個人差があるようです。

 

手術を受けた後は、これまで曇っていた視界がクリアになるので、非常にまぶしく感じるかもしれません。しかし、しばらくすればそれも落ち着きますし、まぶしさはサングラスなどを使うことで軽減することができます。

 

わたしの場合は、もともと強度の弱視ということもあるのか、視力は0.1にとどまっています。しかし、色がものすごく鮮やかに見えるようになったことは驚きでした。

ただ、しばらくは目の中の乱反射がすごくて、夜は車のヘッドライト前に飛び出して見えたり、街頭の光に帯がついているように見えて、それが長く伸びたりしていました。

とてもきれいなんですが、現実の大きさや距離感がつかみにくく歩きにくいということがありました。

 

まとめ

近年眼内レンズもさまざまな種類が登場し、よりご自身に合ったレンズを選びやすくなってきていると思います。

ただし、眼内レンズは一度入れ替えたら、よほどのことがない限りは一生使いつづけるものです。そのため、今のベストよりもこの先のベストを踏まえた選択が重要となります。

 

白内障を含め、症状がなかなか現れない疾患があります。そしてそのリスクは、40代を超えるとさらに高まります。今まで特に目に異常を感じていなかったとしても、40代以降は年に1回の眼科健診を行い、早期発見ができるように心がけましょう。

 

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