網膜色素変性症が発覚するまでの体験談と生活への影響についてお話します!

網膜色素変性症が発覚するまでの体験談と生活への影響についてお話します!

私が網膜色素変性症と診断されるまでの経緯と生活で感じる不便さ、そしてその不便さを解消するための工夫についてお伝えしていきます。

網膜色素変性症とは

網膜色素変性症とは

体験談を話す前に、まずは網膜色素変性症がどんな病気か私が調べて理解できた範囲で説明しておきますね。

網膜色素変性症は、光を電気信号に変換して脳に伝える役割を担っている網膜にある視細胞が徐々に破壊され、光を感じ取る能力が低下していく病気です。

と言われてもピンとこないと思います(私もピンときません)。

なので、かなりザックリ説明すると『目の機能(見るための機能)が徐々に衰えていく進行性の病気』といった感じになります。
まぁ、網膜色素変性症である私自身の感覚や体験込みの説明ですけどね。

初期症状と進行速度

初期症状は、夜盲(暗いところで見えにくくなる)や視野狭窄(周囲が見えにくくなる)が多いとされていますが、視力低下(メガネをかけた状態での視力の低下)から現れる場合もあるそうです。

進行速度は基本的には緩やかですが、個人差があります。
幼少期に発症したとしても30歳前後で見るための機能がほぼ機能しなくなる人もいれば、80歳くらいまで生活に支障が出ない程度には視力を保ったままの人もいるそうです。
また、発症する年齢もさまざまと言われています。

目の見え方への影響

網膜色素変性症が進行すると、以下のような症状が主に現れます。

夜盲
暗いところで物が見えにくい

視野狭窄
視野が狭くなる(周囲が見えにくくなる)

色覚異常
色を見分けにくくなる

視力低下
メガネをかけてもはっきり見えなくなる

夜盲→視野狭窄→視力低下の順で進み、人によっては色覚異常が出てくるパターンが多いらしいのですが、個人差のある病気なので症状の出方も進行速度と同じように人によって異なるそうです。

私は今のところ夜盲と視野狭窄を自覚しているのですが、極端に見え方がおかしくなったとは感じませんでした。
どちらかといえば、気づいたころにはそれなりに進行していたといった感じでした。
なので、上記で挙げた症状が発症していたとしても直ぐに見え方に影響することはなく、自覚することにはそこそこ進行しているという印象を持っています。

 失明はするの?

結論から言うと
失明する可能性はあるものの網膜色素変性症になった人全てが失明するわけではない
といったところになります。

これはネットで調べた結果と、私自身が網膜色素変性症と診断されたときに伝えられたことを踏まえたものです。

ちゃんと覚えているわけではないですが、私が網膜色素変性症と診断を受けた際は「完全に見えなくなることはないけど、いずれメガネをかけても視力が出なくなる」といったようなことを言われた記憶があります。

ちなみに、メガネをかけても文字が読みにくい状態を社会的失明といい、網膜色素変性症ではそうなる人が多く、完全な失明(いわゆる全盲)になる人は少ないそうです。

病気が発覚するまでの体験談

病気が発覚するまでの体験談では、どういったいきさつで網膜色素変性症と診断されたかについて話していきますね。
網膜色素変性症と診断される前は別の病気を疑われていて眼科に定期的に通っていました。
今ではそのおかげで割とスムーズに網膜色素変性症であると判明したと思っています。

 初めは網膜剥離を疑われていた

疑われていたのは網膜剥離です。

網膜剥離とは、眼球の内側にある網膜が剥がれて、視力が低下する病気で、剥がれ方が悪いと失明する可能性があるそうです(これもネットで調べました)。

なぜ網膜剥離を疑われていたかというと、その前兆とされる飛蚊症を発症していたからです。

飛蚊症に気づいたのは高校3年生くらいの時だったと思います。
ある時マンガを読んでいると目の前に虫のようなものが浮遊して消えないといった飛蚊症の症状について描かれていて、それからしばらくして描かれていたそのままのことが自分の目に起こったのです(マジか!って感じです)。
怖くなって眼科を受診したところ、「網膜剥離の可能性があり、いつ失明してもおかしくない」と診断され、経過観察するために半年に一回は通院することになりました。

記憶に残っている範囲ですが、診断されたときの説明では「網膜の状態が良性か、悪性か判断がつかなく経過観察が必要で、悪性であればレーザーを使った手術をします」といったことに加え、「網膜にある神経がプチっと破裂すると失明する恐れがあります(だから、経過観察を欠かさずしましょうと言いたかったんだと思いますが、ほぼ脅しにしか聞こえませんでした笑)」といったようなことを言われました。
いつ失明してもおかしくないといったような説明を受けたので、この時から目に爆弾を抱えているんだといった気持ちを持つようになりました。

あとは、良くも悪くも何がきっかけで物事が動き出すか分からないということも学びました(まさか、マンガがきっかけになるとは)。

ちょっと見え方がおかしい

今思えば網膜剥離の経過観察を始めてから7、8年たった頃、25,6歳のときには、網膜色素変性症だと思える異変があった気がします。

当時コンビニでバイトをしていたのですが、商品やポイントカードをスキャンし忘れて会計が終わるか終わらないかぐらいのタイミングで気づくといったようなことや棚に陳列するためのお菓子などが入っている段ボールを蹴飛ばすといったことが多々あり、違和感を覚えた記憶があります。

決定的だったのが網膜剥離の経過観察を始めてから10年くらい、コンビニのバイトも辞め、営業職の研修をしていたある日の出来事です。

その日は夜で、営業する先輩について回る研修でした。

営業する地域には自分で車を運転して向かったのですが、その地域周辺はほとんど街灯がなくヘッドライトの明かりだけが頼りでした。

普通ならそれでも問題なく運転できるのかもしれませんが、私はそうではなかったのです。
ヘッドライトが当たっている箇所は見て取れたのですが、それ以外の箇所は、全くといっていいほど視認できませんでした。
そのうえ、道がこの先まっすぐなのか、曲がっているのかもちゃんと判別がつかない感じもありました。

これにはかなりの恐怖を覚えたのを今でも忘れません。

それでも研修はやり切ったのですが、やはり暗い場所で物が見えないので、先を歩く先輩を見失いそうになったり、周りの状況が把握できなかったりといった有様でした。
歩きでも見え方がおかしいことで、妙な諦めと検査をする決心がつき、研修のうちに仕事を辞め、通っていた眼科で診てもらうことにしたのです。

なぜ検査をしようと決心できたかというと、網膜剥離の経過観察で異常はなかったのと、網膜剥離で暗い場所で物が見えなくなるなんて聞かされていなかったからです。
となると、違う何かかもという考えがよぎりますよね。

網膜色素変性症と判明

通っていた眼科で診てもらった結果、「網膜色素変性症の可能性があり、障害者手帳2級相当の状態」と診断され、障害者手帳の申請を勧められました。
それと診断を確実にするためにセカンドオピニオンもかねて大学病院での検査も勧められました。

それで大学病院で検査をしたところ、「網膜色素変性症で間違いないだろう」との診断が下り、網膜色素変性症であると確定したのでした。

大学病院での検査の際、目を検査器具でふさがれた状態でベッドに寝かされていたのですが、研修中とおぼしき看護師さんとその担当らしき看護師さんの「これで大丈夫ですか?」、「うん、大丈夫」といったような会話が聞こえ、若干不安になりました(私の検査についての会話だったかは不明ですが…)
こういう会話は極力聞こえないボリュームでやってほしいですよねぇ~(笑)

通っていた眼科で診断を受けた際、「進行性で治療法がない難病」と説明されたのですが、悲観するのではなくむしろ安心していた記憶があります。
いつ何時失明するか分からない網膜剥離の可能性から、そういったことはないものの着実に緩やかに進行していずれ見にくくなる網膜色素変性症に確定したことで日々感じていた「不意に失明するかも」といった不安から解放されたのが大きかったのではないかと思っています。

ちなみに、通っていた眼科には網膜色素変性症の経過観察をするため今でも3か月に1回のペースで通院しています。

生活への影響

生活への影響網膜色素変性症によって生活にどのような影響があるのかについてお伝えしますね。

ただ、個人差のある病気ですので、一つの事例として考えてもらえたら幸いです。

自覚している症状

私が今自覚している症状は夜盲、視野狭窄、それと明るさへの順応が遅いといったものです。
発症した順番は正直わからなくて、自覚したころには挙げた症状全てが出揃っているような状態でした。
進行がかなりゆっくりなので順序良く症状を認識するのは難しいかと思われます。

では、実際どんな感じなのか気になりますよね?

まず夜盲についてなんですが、明かりがないと本当に何も把握できません。
うっすら気配を感じるといったこともありません。
ただ、自宅のように物の配置が頭に入っているところでは多少暗くてもどうにかなります。
夜道では明かりが届く範囲しか視認できないので、街灯と街灯の間に光を発するものがなければその間はほぼ何も視認できなくなります。
個人的には分かりやすい症状ですね。

次に視野狭窄。
上で視野が狭くなると書きはしましたが、どんな見え方なのかイメージしにくいかと思います。
端的に言うと物が消えます。
例えば、飲み物を飲むためにコップを手に取り、そのコップをテーブルに置いてから冷蔵庫にある飲み物を取りに行ったとします。
そして冷蔵庫から飲み物を携え、コップに注ごうとテーブルに目をやるとコップが消えているのです。
どういうことかというと、コップをテーブルに置いたときに一度視界から外して、飲み物を注ぐときに再度視界に入れようとしても視野が狭いので視界に入らず、消えてしまうのです。
このようにあるはずのものがマジックのように消えてしまったり、視野が狭いので単純に部屋の全体像が掴みにくかったりといったことがちょこちょこ起こります。
視野の狭い状態に慣らされるので自覚しにくい症状ですね。

最後は明るさへの順応が遅いというもの。
これは、明るいところから暗いところへ、暗いところから明るいところへと明るさに差があると慣れるまでに時間がかかるといった症状です。
夜盲もあるので、とくに明るい状態から暗い状態への変化が周りの状況が把握しにくく困ってしまいます(ショッピングモール内の駐車場とか特にツライ)。
ただ、今のところ夜盲や視野狭窄ほどわずらわしさを感じてはいません。

生活で不便なこと

生活で不便なこととしては、第一に外出がしにくいことが挙げられますね。

かなり視野が狭いので初めて行く場所では周りの状況が把握しにくく、非常に疲れてしまいます。
また、薄暗くなると物が見えにくくなるので外出できる時間も限られています。
なので、自宅周辺ぐらいしか出歩かず、慣れない場所に行くのがおっくうになって行動範囲が狭くなっていますね。

外出がしにくいこと以外では、物を探すのに時間がかかってしまうことですかね。

視野狭窄の説明で話したようにあるはずのものが消えてしまうので落ち着いてゆっくり探さなければなりません。
なので、時間がかかってしまいます。
とくに、物を落としてしまうと一苦労です。
落ちていく瞬間をほとんど目で追えないので、どこに落ちたかあたりをつけてじっくり探します。
おかげで何度小銭をあきらめたことか…

こんな感じで地味に疲れやイライラを感じることが起こってしまいます。
なので、なるべくそうならないようにするのがポイントになってきます。

こんな工夫をしています

では、どんな工夫をしているかというと、まず初めて行く場所や慣れない場所への外出での疲れは諦めています。
こればかりはどうしようもないので、疲れるものだと割り切って行動します。
強いて言うなら、段取りを考えて、それに沿って行動するといったことですかね。
やりたいこと、やるべきことをどこでどんな風にやるのかをリサーチやシミュレーションしておいて、目的地に着いたらそれに従って行動するだけでも多少疲れは抑えられるかなと思います。

それから夜はほぼ外出できないので、食料品などは日が出ているうちに買いに行くようにしています。
なので、季節ごとに大体何時くらいまで明るいかを頭に入れて買い物する習慣が身に付きましたね。
ただ、私は一人暮らしで徒歩移動がメインなので日照時間を気にしていますが、車に乗せてくれたり、代わりに買い物に行ってくれたりする人がいる場合は、そこまで日照時間を気にする必要はないかと思います。

あと、物は必要な時以外は出さないですね。
むやみに出し入れしていると落としてしまう可能性がありますからね。
小銭を落としてしまうことに関しては、電子マネーを使うことで対処していますが、たまに自販機の前で落としてます(笑)

最後は物の位置を固定することです。
位置を固定して、その配置を覚えることで物を探す時間が短縮できますし、スムーズに動くことができます。
家具、家電はもちろんですが、取り出した物の位置も固定します。
リュックなどから取り出した物を机の上にテキトーに置くと、どこに何があるのかすぐに把握できないのです。
なので、位置を固定します。
とくに机などで作業をする際は、作業に使う物の配置を固定することで作業をスムーズに行えるようにしています。

実際にやっている工夫をいくつか挙げてみましたが、夜盲や視野狭窄の症状があると分かって工夫しだしたのは、明るいうちに買い物することぐらいで、それ以外のことに関しては、夜盲や視野狭窄の進行具合に合わせて、そうとは知らずに取るようになった行動ばかりですね。
思い返せば工夫をしていたといった感じですね。

視覚障害者に役立つ便利グッズについて紹介します!

さいごに

気楽に考えている網膜色素変性症は、進行性で失明する可能性もある治療法のない難病です。
そう聞くと悲観してしまうかもしれません。

ですが、突然失明することはなく、もしそうなったら合併症が疑われるのだそうです。
なので、しっかり通院をして経過を見ながら今できること、やりたいことを把握して行動に移していけたらなと思っています。
治療法がないので長い付き合いになると思いますが、進行具合に合わせて自然と工夫をしていくんじゃないかと気楽に考えてたりもします。

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