視覚障害者の生活・歩行訓練 職業訓練施設編

視覚障害者の生活・歩行訓練 職業訓練施設編

前回は、私が通っていた視覚障害者の生活訓練施設についてお話しました。視覚障害者の職業の定番であるあんま・針・マッサージ以外の職業につきたいという夢を持って本土の職業生活訓練施設へ入所した私ですが、そのレベルの高さにがくぜんとしてしまいます。今回は、その職業訓練施設についてお話していこうと思います。

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生活訓練終了後の授業体験

無事1年間の生活訓練を終えて、

次はもうひとつの夢である就職について考える時期がやってきました。

私が入所していた職業生活訓練施設には、

電話交換手の資格取得のための「電話交換課」と、

主にパソコンを使ってビジネス文書やデータ作成を行う「情報処理課」2つがありました。

 

この辺は記憶があいまいですが、

どの学科に入るにも高校卒業程度の学力試験が必要だったと思います。

 

もともと電話が苦手だったことと、

パソコンを使った仕事がしたいという希望があったため

「情報処理課」を希望し、試験を受ける前に約1週間の授業体験を行いました。

 

主な授業の内容は、JAWS(ジョーズ)という高性能な音声ソフトを使いながら、

ワードやエクセルでビジネス文書や複雑な表計算、様々なグラフの作成、

プレゼンテーションの練習(気になるニュースについての発表やディスカッション)を行います。

 

しかし、

使用したことのない音声ソフトの操作に戸惑ったり、

授業のスピードがとても速かったり、

今まで作ったことがない文書を素早く作らなくてはならなかったり・・・

とにかくレベルの高さにぼうぜんとしてしまいました。

何とかついて行こうと授業が終わったあとに復習するのですが、

自分でとったメモを見てもデータに残しておいた表を見てもさっぱりわからず・・・

1週間の体験授業ですっかり疲れ果ててしまいました。

このまま試験を受けて合格したとしても、1年間やっていく自信がありません。

といったことをケースワーカーさんに相談したところ、

ちょうど県庁舎がワークシェアリングというプロジェクトで職業訓練生を募集していることを聞き、

試験と面接を受けることになりました。

ワークシェアリング

職業訓練部門への入学は諦めましたが、幸いなんとか次のステップへ進むことができました。

ワークシェアリングとは、

約1年間に渡って実際に働きながら職業訓練を受けることができる県庁舎主催のプログラムで、

前半は職業訓練、後半は実際に県庁舎で働いて給与をもらいながら実践訓練を行います。

こちらも県内の大学で高校卒業レベルの試験と面接が行われます。

 

正直学力は高いほうではないため、試験結果はボロボロ

面接も何を答えたか覚えていません

終わった後白杖が持てなくなるほど緊張していたことだけは覚えています。

 

幸い視覚障害者の受講が私一人だけだったので、奇跡的に合格した感じです。

職業訓練は、最初のオリエンテーション以外は

入所している職業生活支援施設内で職業訓練部の指導員と1対1で行われました。

訓練内容は

必要最低限のビジネス文書作成や郵便物の仕分け、

ファイリングや会議資料の準備など、

事務補助のための訓練を行いました。

しかし、

実務訓練では現場が視覚障害者の対応に慣れていないのか、

実務に訓練が生かされていないことが多かったです。

配属された部署の担当者に自分のできることを伝えても業務に取り入れてもらえませんでした。

「私は一人前の人材として認められていないのでは?」

落ち込む日々が続きました。

そんな中でも、人間関係や毎日の電車通勤などいろいろな学びがあり、

訓練もその後の仕事に役立っていましたので、

1年間貴重な体験ができたと思っています。

最後に

最近では、いろいろな方の情報発信や活動によって

視覚障害のある方が接客業に就いたり、教師として教育の現場に立ったりして、

私が働き始めた頃に比べて職業の幅が広がってきています。

私も去年から現在働いている会社でこうやって文章を書いています

今後もみんなが自分らしく暮らし、働けるように

私も文章で何か少しでも伝えられたらいいなぁって思っています。

まぁ、自分の体験した小さい出来事しか書けませんが(笑)

 

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