「歩けないの?」 4・5歳の子が不思議そうに聞いてきた10代の頃は、何と答えたら良いのか迷い恥ずかしさと照れくささがありました。車いすに乗ると歩けないという現実を実感する場面があり、怪我や病気によって歩けなくなれば車いす生活は日常になります。
車いすと利用者
車いすは標準タイプ・電動タイプ・リクライニングタイプ・モジュールタイプがあります。使用目的に合わせて軽量タイプ・コンパクトタイプ・スポーツタイプ・こども用などがあり、デザインやカラーバリエーションも豊富で身体に合った車いすを選ぶことができます。
車いすに乗っている人は、脊髄に障害が発生する場合と病気によって身体が麻痺するパターンがあり、大まかに次の場合になります。
〇先天性
出生時に病気により、脊髄や脳などの運動機能が障害となる二分脊椎症や脳性麻痺などがあります。
〇後天性
生活している途中で脳・頸椎・胸椎・腰椎の病気・後遺症や脊髄腫瘍・その他の病気など、脊髄に障害が発生する脊髄損傷・脊髄の病気があります。
病気や怪我によって使用は異なる
車いすは、脳血管障害・脊髄損傷・脳性麻痺・進行性筋萎縮症・慢性リウマチなど障害に応じて使用が異なります。
脳血管障害は、左右いずれかの麻痺状態が多く、片方の手足で操作する場合があります。
脊髄損傷は、状況により体温調整ができない・便意を感じない等、下半身や四肢に麻痺が生じて歩行困難になります。床ずれによる生活上多くの2次障害を抱え、予防用シートにクッションを敷いています。
脳性麻痺は、手足に硬直が生じることがあり不随意の動きや細かい作業に困難をきたし、言語障害を伴う知的障害と重複している場合があります。
進行性筋萎縮症は筋肉が萎縮する進行性の疾患で、徐々に歩行が困難となります。筋肉が弱っていくことから姿勢や首の座り維持が難しくなり、介助は十分な配慮が必要です。
慢性リウマチは進行する病気で関節を動かした時に痛みを伴い関節が破壊されていくため、大きな負担に耐えられなくなるような症状の程度により車いすを使う場合があります。
車いす使用者の不便
バリアフリー化という言葉をよく聞くようになりましたが、バリアフリーとは英語で障壁(バリア=かべ)という意味です。障害のある人や高齢者など生活に不便を感じることや様々な活動時の障壁をなくすことです。
〇物理的不便(階段・段差・高い位置)
道路や建物など利用者に困難をもたらす不便な点は、路上の放置自転車や狭い通路・建物の階段・座って届かない高い位置にあることなどです。
〇交通機関(電車・バス・タクシー)
公共交通機関においては、乗り降りや移動面でホームと電車の隙間や段差など不便をもたらすことです。近年は改善されて乗り降りに時間はかかりますが、乗務員の手助けがあるので無くなりました。
電車の中は車いす専用スペースが確保されていますが、ときには埋まっていることもあり気遣いと理解が必要です。
〇お店や屋外
お店でも様々ですが、エレベーター中のボタンは低いところになければ届かず、店に入っても商品が高いところにあると届かないです。屋外は、整地された道ばかりではなくて坂道や砂利道・でこぼこ道になると車いすをこぐのは大変です。
まとめ
車いすを利用する人は病気や事故などによって障害の種類や程度は様々です。社会の中で不便なことや困っていることがそれぞれ違いますが、あらゆる人の社会参加でバリア(障壁)の除去は、それぞれの障害の特性や障害のある人のことを理解してその人の目線になって周りをみることが必要です。
車いすに乗っている人が困っているのをみかけたら「大丈夫ですか?お手伝いしましょうか?」と声かけすることが大切で、利用者にとっては大きな励みと勇気になります。