聴覚困難情報処理障害(APD)について

聴覚困難情報処理障害(APD)について

人には目で見る感覚「視覚」、耳で聞く感覚「聴覚」、手や肌で触れる感覚「触覚」。さらに、鼻で匂いをかぐ感覚「嗅覚」、口や舌で味わう感覚「味覚」といった五感があります。これらは、身の周りの情報収集のためにとても重要な感覚です。この中で、聴覚は正常なのに人の会話などの情報が頭に入ってこないという障がいがあることをご存じでしょうか?今回は、聴覚困難情報処理障害(APD)について調べてみたいと思います。

音が耳に届くメカニズム

耳に届いた音波は外耳をとおって鼓膜に届き、中耳へと伝わります。さらに内耳の蝸牛に届きます。ここにはリンパ液が入っていて、これが音波の振動を感知することによって、蝸牛の有毛細胞に伝わり電気信号に変換されます。

このとき、音の高さや大きさに反応する有毛細胞の数や電気信号の数については、異なります。

さらに、電気信号は聴神経をとおって蝸牛神経核・オリーブ核といった神経細胞が集まる関所のようなところを通り、最終的には大脳にある聴覚野に達し音情報として認識されます。

聴覚神経のネットワークは、情報が途中で枝分かれしたり統合されたりして、とても複雑につくられていることが特徴です。このネットワークで情報が適切に処理されることにより、さまざまな音を聞き分けることができます。

 

聴覚困難情報処理障害(APD)ってどんな病気?

聴覚困難情報処理障害APD(Auditory Processing Disord)は、聴力検査では正常なのに日常生活で人の言葉が聞き取れないなど、困難を覚える疾患のことを言います。

 

これは、内耳から脳に届いた音の伝記信号が何らかの理由で処理できず、脳が音を認識できず聞き取りにくい状態になってしまいます。

 

主な症状は5つ

・通常でも聞き返したり聞き間違えてしまうことがある

・ざわついた場所で会話などを聴くっことが難しい

・口頭でいわれたことを忘れたり、内容を理解できない場合がある

・早口や小声での会話が聞きにくい

・長い話を聞くときに集中力が低下する場合がある

などがあります。

 

上記の症状から「難聴でしょ?」と思われる方も多いかもしれません。

繰り返しになりますが、聴覚困難情報処理障害APDは聴力検査でも正常なので、明らかに難聴とは異なることがわかります。

 

それでは難聴とは具体的にどのようなものでしょうか次の項で確認してみましょう。

 

難聴とは?

難聴は、外耳や内耳・聴神経のどこかが障害されて、聞こえにくい状態のことをいいます。

聴力検査によって外耳や内耳に障害がみられる場合を伝音難聴といい、内耳や聴神経に障害がみられる場合を感音難聴、これらが混合して起こる難聴を「混合性難聴」といいます。

 

伝音性難聴

伝音性難聴は、外耳や中耳が正常に機能しないことによって音を感知することができなくなる状態のことを言います。これは、中耳炎(慢性・滲出性中耳炎)などの機能障害が原因となります。そのため、外科集術で回復する可能性があります。

また、この難聴は音を増幅することで聞くことができるので、補聴器を使うことで対応可能です。

 

感音性難聴

感音性難聴は、内耳やその奥にある中枢神経系の障がいによって生じるとされています。

特徴としては、耳鳴りがあり、高い音を聞いたり複数の音から特定音だけを識別することに困難を覚える状態です。また、補聴器や人工内耳を装着しても完全に聞きづらさを補うことは難しいようです。

 

さらに感音難聴には、内耳の疾患となる突発性難聴・老人性難聴・メニエル病・騒音性難聴など、中枢の疾患となる聴神経腫瘍などがあります。

 

混合性難聴

混合性難聴は、先述した2つの難聴の機能障害が混合して現れた難聴です。
老人性難聴の多くは、混合性難聴として分類されます。症状の度合いについては個人差があります。

 


さらに先天的な障がいや、外傷性・ウィルス性・遺伝性・ストレスなど、あらゆる原因があります。

 

聴覚困難情報処理障害(APD)の原因

聴覚困難情報処理障害(APD)は耳の異常ではなく、脳の特性や障害がもととなるため、原因はさまざまです。主な原因として挙げられるのが、発達障害があったり、心理的な問題・認知の問題などがあります。

人の話を聞くためには、その言葉を注意深く聞いて記憶することが重要ですが、にぎやかな場所でそれが聞き取れないがゆえに「注意して聞く」「理解する」ことが難しくなってしまうようです。

聴覚困難情報処理障害(APD)の対処法

聴覚困難情報処理障害(APD)は、残念ながら効果的な治療法が見つかっていません。そのため「聞こえづらさ」を軽減あるいは改善するための対処法を用いています。

 

生活編

生活のただ中でも音はたくさん存在します。いわゆる生活音ってやつですね。

聴覚困難情報処理障害(APD)の場合、さまざまな音の中で会話を聞き取るのが難しいので、会話をするときはテレビやラジオの音などをきるとか、大切な話をするときは、少し静かな場所に落ち着いて会話ができるようにする環境づくりが重要です。

 

オフィス編

オフェンスでは、さらにたくさんの音が飛び交っていますよね?ここでも、やはり大切な話をするときは静かな場所に移動して、できれば1対1で話をするのがよいでしょう。

 

これはわたしの勝手な思いですが、会議録や伝言メモなどを活用して、文書に要点をまとめて見返すのもよいのではないかと思います。

 

まとめ

今回は、聞こえるのに聞こえにくい「聴覚困難情報処理障害(APD)」について、簡単ではありますが調べてみました。

 

もしかしたら、視覚障がいの色弱のように周りの人に伝わりにくい疾患なのかな〜という印象がありました。認識が違ってましたらすみませんm(__)m

 

子どものころに、好きな歌手の歌をまねて歌ったことがありますか?

あれ、言葉がよくわからなくても、とりあえずその場のノリで歌っていましたよね?

子どもの場合は言葉の理解の問題ですが、良く聞こえないと知ってる言葉に置き換えてしまって、間違った理解をしてしまうということは、誰にでもあることではないでしょうか?

それが病気となるとやっぱりきついだろうな〜と想像します。

 

適切な治療法、あるいは予防法が早く見つかることを願います。

 

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