スポーツ用車いすをはじめ、日常生活で使用するにもユーザーによってタイヤの角度が垂直ではなく、八の字に広がっている車いすも見かけたことがあると思います。ここでは、車いすのキャンバーのメリット・デメリットなどについて紹介します。
キャンバーとは
車いすの正面や背面から見た時に、後輪タイヤの上部が内側に入り接地面の下部が外側へと傾き八の字になっていることを言います。またキャンバー角とも呼んだりします。
後輩の車いすが教えてくれた
私が中学2年の頃、離島から体験入学に来ていた男の子がいました。部活の関係でキャンバーを付けた車いすに乗っていて、安定した走りとスイスイと曲がる場面を見て「速い」と思いました。 いや「速かった」と言った方が正しいですね。
しかし、この時ただ単に「部活のバスケをしていて、トレーニングをしているから操作が速い」とばかり思っていたけれど、実際は、車いすにも工夫がされているから速い。と言われた時に初めて気付きました。
キャンバー角のメリット
では、キャンバー角を付ける事で、どんなメリットがあるのか紹介します。
・小さい力で進む
キャンバー角を車いすに付ける八の字にすることで、小さな力で前に進むのが軽く感じます。タイヤの摩擦面が大きく形状が常に弧を描いている状態になっています。
・上手く曲がれる
普通型の車いすは、前後どちらから見ても角度がないのが多いです。直線で進むスピードは、腕の力でこいだ分だけ進みますが、曲がり角や滑らかなカーブでは、スピードを落とさなければ上手く曲がることはできません。ですが、キャンバー角を付けることで、簡単に小回りが可能になるため、スピードを維持したまま、曲がり角を通過することができます。
・倒れにくい
学生の頃の好きな授業は体育でした。同級生はみんな身体を動かすことが好きだったので、球技系のスポーツは、思いっきりぶつかることが多く衝撃でひっくり返る時もあったのですが、キャンバー角を付けた事で固定されて、たとえ衝突し衝撃が加わったとしても、転倒する事がなくなりました。
キャンバー角のデメリット
次にキャンバー角を取り付けたときのデメリットについてです。下記のようなものが挙げられます。
・狭い場所は通れない
普通型の車いすと違い、キャンバー角のある車いすは横幅が広いので、テナントに入る時にも制限があったりします。通路の狭い場所へは行くことができない。という不便さがあります。なので、全てにおいてキャンバー角があった方が良い。という訳でもありません。
また、キャンバー角を付けることによって、車椅子を漕いだ時に重く感じる方もいるかもしれません。障害の程度によって、感じ方も違ってきます。
最後に
車椅子を八の字にすることで、後ろからみた印象が変わりますが、今回書いたメリットやデメリットがあるのも抑えておきましょう。もし、車いすを購入する際に角度を付けることを希望するのであれば、業者の方を交えて検討するのをオススメします。