予防が大事！褥瘡の早期発見

褥瘡と体位変換

寝たきりで寝返りができずに長時間体重で圧迫されると皮膚の一部がただれや傷ができてしまうことを褥瘡と言います。体位変換は、同じ姿勢や体位で長時間座って一定部分に圧迫をかけないように身体の位置を変えることを言います。

姿勢を変えることできずに皮膚中の骨に近い組織が傷つく場合もあり、摩擦や刺激などを繰り返し受ける場合は、褥瘡になりやすいので注意しなければなりません。褥瘡になりやすいことで注意しなければならない病気には主に、糖尿病・脳血管疾患・脊髄損傷・骨盤骨折・うっ血性心不全・慢性閉塞性肺疾患などがあります。

褥瘡(床ずれ)のできやすい部位と発生原因

主に寝たきりの方は寝返りが難しく、身体の一部が圧迫され続けることや皮膚潰瘍を生じた状態など、高齢者や脊髄損傷で麻痺のある方に起こりやすくなります。

≪発生しやすい部位≫

持続的に圧力がかかりやすい、骨の出っ張った部位などに発生します。

〇仰向け(仰臥位)と横向き(側臥位)

肩甲骨部・踵骨部・耳介部や肩関節部・肘関節部・腸骨部・大転子部・膝関節部など

〇肘・座位部

肘関節部や坐骨部・尾骨部・背部など

≪発生原因≫

〇寝たきり状態

寝たきりやイスに座って姿勢を変えることができないなど

〇骨の突出

痩せた体から骨が突出している

〇関節が伸びない

筋肉や骨が固まっている状態で関節が動かしにくい

〇皮膚が湿っている

汗や尿失禁・便失禁などによって皮膚が湿った状況にある

〇皮膚が弱っている

摩擦や圧迫・むくみなどで皮膚が弱い

〇持続的な圧迫

寝具や補装具など長時間の圧迫など

〇摩擦やズレ

寝衣やシーツでの摩擦や移動時のズレなど

〇皮膚の湿りや身体が不潔な状態

発汗・排尿・排便時の汚れや下着・おむつ・尿取りパットによる皮膚の蒸れなど

〇全身の低下状態

筋肉・筋力低下・栄養不良・栄養状態低下・血行障害など

褥瘡の重症度と予防や対処法

褥瘡は重症化して細菌が入ると、感染症を合併して死に至ることになる場合もあります。発生ステージ分類と予防や対処法をご紹介します。

≪米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)のステージ分類≫

〇ステージI

圧迫した皮膚に発赤や皮内出血の症状ができる

〇ステージII

摩擦力で表皮が剥離して皮層の露出や水疱などができる

〇ステージIII

皮膚が壊死して皮下脂肪や筋肉や骨などの皮下組織に及んでくる

〇ステージIV

壊死した皮膚が筋膜を超えて筋肉や骨・腱などに至り感染を伴いやすくなる

≪褥瘡予防と対処法≫

褥瘡予防は発生原因を除去するために日ごろから皮膚状態を観察して、発赤を見逃さないようにすることや入浴・着替え等の清潔さが重要です。

〇体位変換及びポジショニング

長時間身体への圧迫がかからないような体位をとり、褥瘡部位を意識して定期的に姿勢や同じ部分に負担をかけないように向きを変えることです。

〇皮膚摩擦やズレを防ぐ

移動は「スライディングシート」や「スライディンググローブ」などを使用し、シーツや寝衣が皮膚に直接あたらないような注意が必要です。

〇身体の清潔保持

汗や尿・便など排泄物が皮膚に付着した状態が続くと、皮膚への刺激が加わってしまいます。入浴は褥瘡予防の効果がありますので入浴ができない場合は、清拭や部分浴で血行を良くします。ぬれたまま長時間座っていることがないように寝具や衣類は清潔で乾燥したものを使用し、肌触りがよく通気性や吸湿性に優れた素材のものを選ぶと良いです。

〇栄養を十分にとる

良質のたんぱく質・高エネルギーで、ビタミン・ミネラルが豊富な食材を選びバランスのよい食事や栄養価の高い食品を使用して、栄養状態を良好に保つようにします。本人の食べる能力に合った食事形態や適度な水分補給に心がけると、栄養などの予防改善につながります。

〇褥瘡予防用具を使用

マットレスやエアクッション(ロホクッション)など体圧分散用具を活用して予防します。

まとめ

褥瘡は食事の栄養バランスや体調の悪化に気を付けないと発症してしまうことがあります。症状や疑いがあれば直ぐに医療機関で医師や看護師に相談して、早期発見やステージに合わせた治療と予防が大事です。