障害があってもサーキットを走りたい!免許取得は平等だ!!

障害があってもサーキットを走りたい!免許取得は平等だ!!

自動車学校

高校生活も終わりに近づくと、進学や就職のために運転免許を希望する方は少なくありません。これは、健康な方も障害を持つ方も同じ気持ちだと思います。私自身も、そう思いました。親に何度「車の免許を取りたい」と言ったことか。 この記事では、当時を振り返り、体験したことを中心に免許取得までの流れを紹介します。

自動車学校へ行く前に

健康な方であれば市役所へ行き、必要な書類を揃えて免許取得にかかる料金などを、納めることで授業をスタートすることができます。けれども、身体に障害のある方は自動車学校へ通う前に、運転免許センターで適性検査を受けて判定をして頂く必要があります。

 

「適性検査」と聞くと難しいイメージがありそうですが、実際には自動車を運転する上で福祉車両が適しているのか。普通乗用車で運転ができるかの確認と相談し、障害に合わせた車両がある学校へ入校許可を得る。というのが正しい言い方ですね。

 

私自身の場合は自宅から近い場所に、自動車学校があったので通えないかもしれない。とダメもとで話を聞きに行ったのをきっかけに、適性検査を受けなければ免許取得は難しいということを知ることができました。

引率の指導員と適性検査へ

自動車学校へ話を聞きに行った日、適性検査を受けに行く日程も調整し、担当の指導員と一緒に午後から運転免許センターへ行きました。障害の程度によって、実際に運転をする方や口頭のみで適性検査を終了する方もいる。と車中で説明を聞いた時は「クルマを運転するのですか?運転免許は持っていないです、運転したことないですよ!」と驚きました。

 

正直なところ無茶ぶりでしょ。とも思いました。しかし、実際に「クルマを運転してみましょう。」と運転免許センターの担当者に言われた時は、緊張のあまり無言。引率の先生は「助手席にブレーキがあるから大丈夫よ。免許取得の前に運転をすることは貴重な体験だ」と背中を押してくれました。

 

そして実際に、関係者方や引率の指導員も一緒に乗り込んで適性検査を開始しました。エンジンスタート・チェンジの操作・サイドブレーキ操作・ハンドル・アクセル・ブレーキ等を順番に可能かどうか確かめていき、走る・止まるという基本動作を確認しました。

 

その様子を見た担当者の方は「すごい!自分で操作して運転している。僕はハンドルを補助しているだけだよ。補助ブレーキを踏んでいない。改造しなくても大丈夫ですね」と判定を頂き家から近い自動車学校へ通うことができました。

配慮はあっても特別ではない

人によって障害があるから特別扱いを受けているのではないか。と思っている方も少なくないと思います。自動車の運転免許を取得する為に通った場所は、そういう障害があるから特別という考えを持つというより、私の体力が持つのか。という気遣いがありました。

 

実技教習は1階。運転に必要な知識を学ぶ教室は2階。教科書類はリュックに入れて背負い、急な階段を手すり使って上り下りしていました。教習時間に遅れた場合は、実技でも学科でも受けることはできなかったので、遅れないようにするのが大変だったのを記憶しています。困ったことがあった時は、関係者の方や生徒同士で手伝ってくれました。

しかまくーというあだ名

教習にも慣れてきた頃「指名制度」というのがありました。指名制度は初めて運転した日から、学校を卒業するまで同じ指導員が教えるというシステムです。障害のある私にとって指名制度はとてもやりやすく感じました

 

ですが、私自身とても怖がりでもあったので、毎時間の様に「しかまくー(弱虫)こんなに怖がってどうする?」と怒られたこともありました。そして、この日をきっかけに名前で呼ぶのではなく、しかまくー(弱虫)というあだ名が付きました。

 

なので、実地の時間になる度に「しかまくー(弱虫)今日も泣かそうな~」という会話から、授業がスタートしました。(思い出すと笑いが出てしまいます。)

平等な世界

産まれて生きてきた中で一番偏見や差別を感じない場所が自動車学校でした。杖を使用して歩いていても、時として周りの手助けが必要だったとしても、障害者も健常者も関係なく、同じ教室で学び試験を受けて、仮運転免許が貰えた時には嬉しさのあまり指導員も涙がウルウルした。

模擬教室をフル活用

毎日の様に、授業が終わると模擬教室へ行きました。試験に向けて自主学習をする中で、解らないことがあれば、教えて頂きました。身体に障害があるとどうしても時間が掛かる部分もあったので、時間内に問題を解くのをひたすら練習をしました。

 

時より疲れて、勉強をしながらいつの間にか寝落ちしてしまう。こともあり、指導員さんが入って来ても起きない、ということもありましたが、営業時間内だったので、私自身にとって模擬教室は、勉強をする場所であり身体を休める場所でもありました。

 

試験となれば、生徒は緊張し関係者の方の採点もぐっと厳しくなります。まるで、高校入試

・大学入試のような雰囲気に包まれ、結果を発表する方もドキドキすると言います。

実技試験では、車が段差を上げるだけでもアウト!学科試験は見送りという難しさを聞いていたので、試験中はみんな無言でした。

 

結果として「全員合格です!」と聞いて、全員で拍手してあとは「卒業だ!頑張ろう!」と励まし合いながら学んでいました。私にとって大変なこともあったけれど、平等な世界が大好きでした。

卒業・免許取得

これは、卒業が近くなって親戚のおじさんやおばさんに聞いた話しですが、私が通っていた自動車学校は「指導が1番厳しい学校」と有名な場所と聞かされました。確かに、思い返せば厳しく、実際に波をする場面もあったけれど、それは生徒のことを知っていてのことだったので普通と感じ取っていた部分がありました。

 

卒業の日最初で最後の実技試験は、またしても、緊張感マックスな私がいました。正直「早く終わって欲しい」という気持ちです。そして路上を走るという怖さから来る不安との戦いを、全部知っているのが指導員さんでした。

 

最後の実技試験は、自身でさえも何を思ったのか。試験中にもかかわらず唄い、苦手な停車中の車を見るや試験監督は「大好きな障害があるよ」と逆なことを言い、私自身はそれを唄にしていました。(たぶん。よほど緊張していたのでしょう。)

 

そして、自動車学校を卒業し、残るは免許取得のために、筆記試験を受けるために運転免許センターへ行くだけでした。毎日、授業が終わると模擬教室へ行って勉強していた様子を、何も言わず関係者の方は見ていたのでしょう。

 

私自身は「もう少し勉強してから学科試験を受けに行こう」と考えていました。しかし、明後日に試験を受ける生徒がいます。とセンターへ連絡を入れてあるから行っておいで!という話があり「聞いてないよー」と思わず言葉が出てしまいました。

 

関係者の方は「大丈夫。たくさん勉強していたじゃない?職員みんなが太鼓判を押しているから行って来て。」とうながされる様に受けに行きました。

最後に

運転免許センターの方も、最近来なかった?いつ卒業したの?などと聞いてきたのを現在でも覚えています。身体に障害を持つ方にとって、自動車の運転免許を取得することは、健康な方と違い、通う前の適性や通ってからの辛さ・楽しさなど、いろいろな面で越えなければならない壁があります。

 

運転免許を取得したいという方が、このブログと出会って「挑戦したい」という方がいるのであれば、是非とも頑張って欲しい。と思います。

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