実際に就労継続支援A型事業所で働いている人間が、A型事業所で働くために必要な手続きについて体験談をもとに紹介します。
※この記事は、2019年10月1日に公開した「はじめてのA型事業所~職探しから入社まで その1~」を大幅に修正・加筆したものです。
はじめに
仕事探しをしている障害者の方の中にはA型事業所への就職を考えている人もおられるでしょう。
このA型事業所で働くための手続きは、一般企業へ就職する場合のそれとは異なる部分もあるので、初めての場合は戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
そこでこの記事では、体験談をもとにA型事業所で働くために必要な手続きについてできるだけわかりやすく紹介したいと思います。
A型事業所で働くために必要な手続きは、
(1)面接を受けて採用決定通知をもらう(ハローワーク・就職を希望するA型事業所)
(2)障害福祉サービス受給者証の申請(市区町村の障害福祉担当窓口)
(3)サービス利用計画(案)の作成(相談支援事業所)
の3つで、順番はどれからでもOKです。
面接を受けてから実際に働くまでの期間ですが、スムーズに行った場合でも1ヶ月半~2ヶ月くらいはかかると思っておいたほうがいいでしょう。
なお、A型事業所への就職にあたって聞きたいことや相談したいことがあるときには、ハローワークよりも市区町村の障害福祉担当窓口か相談支援事業所で話してみることをお勧めします。
では、以下で上記の内容を一つずつ見ていくことにしましょう。
面接を受けて採用決定通知をもらう
これは一般企業で働く場合と概ね同じです。
ただし、A型事業所で面接を受ける際は、ほとんどの場合ハローワークからの紹介状が必要になると思いますので、紹介状を頼むついでにハローワークのほうから希望する事業所へ面接申込みをしてもらうといいでしょう。
ちなみに、A型事業所の面接がどんな感じで行われるのかについてはこちらの記事をご覧下さい。
なお、どこの事業所でも同じタイミングで行われるかどうかはわかりませんが、採用が決定した後にも生活状況などに関する書類を作成するための連絡があると思います。
これは、A型事業所から市区町村へと提出する書類を作成するためのものだそうなので、事業所からその旨の連絡があれば指示に従うようにして下さい。
障害福祉サービス受給者証の申請
A型事業所は「仕事をする場」であると同時に「福祉サービスが提供される場」でもあります。
そのため利用(就職)に当たっては市区町村の障害福祉担当窓口(障害福祉課など)で申請を行い「障害福祉サービス受給者証」を発行してもらう必要があります。
そのために必要な手続きは面談とサービス利用計画(案)の作成・提出ということになります。
このときサービス利用計画(案)に関しては相談支援事業所で作ってもらうのがふつうなので次節で説明するとして、ここでは面談のみについて紹介します。
面談は、場合によっては申請が終わってから後日ということもあるかもしれませんが、私の場合は必要なものをすべて持っていたこともあり申請に行ったその場でやってもらいました。
必要な書類は障害者手帳・印鑑・マイナンバーカードもしくは課税状況がわかる証明書(市区町村の窓口で発行してもらえる)となっていますので、申請に行くときは持っていくようにするとよいでしょう。
面談の内容としては、障害の状態や家族・生活の状況など簡単な内容で、かかった時間は15分程度でした。
サービス利用計画(案)の作成
先ほども述べたように、これは相談支援事業所で作ってもらいます。
作成費用に関する自己負担はありません。
相談支援事業所は、私の場合は自分で探しましたが、A型事業所が紹介してくれるケースもあるようですので、就職を希望する事業所で聞いてみてもよいでしょう。
自分で探す場合は、市区町村の役場で一覧をもらうか、インターネットで検索するかして最寄りの相談支援事業所に「サービス利用計画(案)の作成をお願いしたいのですが」と一件ずつ当たっていくことになります。
相談支援事業所が決まったら、そこの相談員(相談支援専門員)さんとサービス利用計画(案)作成のための面談をします。
面談の内容は市区町村への申請のときとだいたい同じで、かかった時間も同じくらいでした。
出来上がったサービス利用計画(案)は相談員さんのほうから市区町村の担当窓口へ提出してもらいます。
2週間~1ヶ月ほどして相談員さんから申請承認・サービス受給者証発行の連絡がきたら、その旨を採用通知をもらっているA型事業所に伝え、入社日を決める運びとなります。
そして、入社日がやってきたらめでたく仕事開始となるわけです。
なお、この相談支援事業所の相談員さんとはA型事業所で働くようになってからも定期的に「モニタリング」という名の面談でお会いすることになります。
そのときは働いているA型事業所に相談できないような悩みなども聞いてもらえるそうですので、できるだけ話をしやすい相談支援事業所・相談員さんを選ぶとよいでしょう。
ただし、この相談支援事業所・相談員さん探しのところで時間がかかってしまうケースもあり、そのような場合は採用決定をもらってから働くまでに数ヶ月もかかってしまうこともあるので、その点は注意というかある程度の妥協も必要かもしれません。
相談はできるだけ役所か相談支援事業所へ
ここまで、A型事業所で働くために必要な手続きについて説明してきましたが、なんとなく理解していただけたでしょうか。
もしかしたら、もっと知りたいことがあってどこかの窓口で聞いてみようと思っている方もおられるかもしれません。
そのような場合に一つ気に留めていただきたいのですが、先ほども述べたようにA型事業所は「福祉サービスが提供される場」でもあります。
しかし、上で紹介した窓口のうち、ハローワークの職員さんは「福祉のプロ」ではありません。
中には詳しい方もいらっしゃるかもしれませんが、A型事業所に関係する福祉制度については詳しく知らない可能性のほうが大きいと考えておいたほうが無難です。
実は、私のときも気をそがれるようなネガティブであいまいな情報を聞かせられた挙げ句、こちらが質問すると「私は詳しくないので・・・」と言われたことがありました。
ですので、A型事業所のような就労支援の場で働きたいと考えている方で、質問や相談がしたいのであればハローワークよりも市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所で聞かれることをお勧めします。
こちらは「福祉のプロ」ですから、わりと的確な情報を教えてもらえます。
福祉制度のことは福祉のプロに聞いたほうが安心です。
ハローワークは求人を探したり、紹介状の作成や面接の申し込みをしてもらう所と考えておいたほうがよいでしょう。
A型事業所の面接編はこちら↓