今回は視覚障害者が学校や日常生活で困ること、大変だと感じることについて支援学校に通わなかった私の実体験をもとにお伝えします。視覚障害とはどのような障害なのか、弱視の私が学校や日常生活で工夫したことなどについても併せてご紹介します。
視覚障害とは
視覚障害とは視野や視力の障害により、日常生活に支障が出てしまう状態のことです。視野が狭いため人や物にぶつかりやすい、眼鏡をかけても視力が上がりづらいなどさまざまな支障をきたします。人によって障害の程度・見え方・見える範囲などが異なります。
視覚障害は視野や矯正視力の程度により、1級~6級までの等級が定められています。視覚障害と一括りにしても、弱視や全盲など見え方はさまざまです。弱視とは、眼の病気により眼鏡などで矯正しても視力が上がらない状態のことです。
弱視には、強い屈折異常による屈折異常弱視・左右の屈折度が異なる不同視弱視・斜視による斜視弱視があります。
私の視覚障害と障害者手帳の取得について
私は、小眼球症・角膜混濁・先天性眼振による視覚障害があります。障害の等級は5級です。小眼球症は発症率が1万人に1人とされており、眼球の大きさが生まれつき小さい病気です。白内障・緑内障・網膜剥離などの病気を併発することがあります。
私は白内障を併発していますが眼球の大きさが小さいため、手術は難しく経過観察の状態が続いています。また、先天性眼振による外斜視も併発しています。私の場合はさまざまな病気が重なって弱視になっており、視野も狭くなっています。
また生まれつき弱視であったものの、視覚障害者手帳を取得したのは高校卒業後でした。手帳を取得するまでは、視覚障害について深く知ることを避けていました。当時は、自分の病気や障害について知るのが怖く、自分の弱視と向き合えずにいました。
「何でみんなと同じように見えないのだろう」と、自分の弱視を受け入れることができませんでした。
視覚障害がある私が今までに困ったこと
私は学生時代、視覚障害者の教育に対応する特別支援学校には通っていませんでした。そのため、小学校から高校まで障害を抱えていない人たちの中で学校生活を送っていました。
当時の学校生活や日常生活で困ったこと、大変だったことについて私の実体験をもとにお伝えします。
学校生活で困ったこと
- 一番前の席でも教室の黒板の字が見えない、または見えづらい
- 教科書の字が小さい場合、音読できず先生に当てられても何も答えられない時があった
- 眼の病気により曇りの日でも外に出るとまぶしく感じるため、屋外授業が辛かった
- 屋外で行う体育の授業内容が球技の場合、弱視とまぶしさでクラスメイトと同じように球技を行うことができない
- 外斜視により両目で物を見られないため、球技を行うのが難しくクラスメイトたちと球技を楽しむことができない
- パソコン授業などでプロジェクタースクリーンを用いて作業説明が行われる場合、プロジェクタースクリーンに映し出される文字や映像が見えず授業についていけない
困ったこととは少しずれてしまいますが、外斜視があるためクラスメイトから外見に対するネガティブな言葉を投げかけられることもありました。
時には「本当に見えないの?」という言葉を投げかけられることもあり、弱視という点だけでなく精神的に辛いこともありました。
日常生活で困ること
- 運転免許が取得できず、自転車にも怖くて乗れない
- 少し離れたところから手を振られた場合、誰だかわからないため反応できない
- 駅の電光掲示板・町の案内板・バスなどの車内案内板・飲食店の壁に掛けてあるメニューなど、大きな字でも近づかないと見えない
- デパートやスーパーなど店内にある照明や、屋外がまぶしく感じる
- 買い物の時など視野が狭いため周囲の人に気づかず、ぶつかることがある
- 歩いている時に前方に人がいる場合はこちらへ近づいてきているのか、離れていっているのかわからない
- スーパーなどで買い物をする際、近づかないと商品名と値段が見えない
- 慣れていないスーパーの場合、陳列棚を遠くから見てもどんな商品が置いてあるのかわからないため商品探しに時間がかかる
日常生活とはあまり関係ありませんが、外斜視があるため3Dの映像などを見ても立体的に見ることができません。
また外見についてネガティブな言葉を投げかけられたことが今も心に残っており、トラウマになっています。そのため、現在も人の眼をまっすぐ見て話すことが難しい状態です。
学校生活や日常生活で私が工夫したこと
上記で紹介した困る点を少しでも減らせるよう、私が工夫したことを紹介します。また、眼の疲れを軽減させるために気をつけていることも併せてお伝えします。
学校生活で工夫したこと
- 黒板の字を大きくしてもらうように先生へお願いする
- 黒板の字が見えない時は、先生が話していることをノートに記入する
- 友達にノートを見せてもらう
- 先生や友達へ弱視のことを伝え、理解してもらう
日常生活で工夫したこと
- ライトや屋外のまぶしさを軽減させるため、遮光レンズの眼鏡を使用する
- 外出時のまぶしさを軽減させるため、日傘や帽子を使用する
- 周りの人へ弱視のことを伝え、手を振るだけではなく名前で呼んでもらうようにお願いする
- 字が見えない時はスマートフォンのカメラを起動させ、ズーム機能を使って見るようにする
- 買い物の際は周囲をよく確認し、人がたくさんいる売り場は避けるようにする
- 人と会話する時は、相手の眼ではなく鼻を見るように意識する
- パソコンやスマートフォンを使用する際は画面の明るさを低くし、ブルーライトフィルター機能などを利用して暖かい色味の画面に変更する
- 眼の疲れを軽減させるため、パソコンやスマートフォンの文字サイズを拡大して見やすくする
まとめ
今回は視覚障害者が生活で困ることについて、私の実体験をもとにご紹介しました。私の場合は弱視を隠さず、周りの人に伝えて知ってもらうことで精神的な負担も少なくなりました。
自分の病気や障害について深く知ることで、どうすれば見えやすくなるのか考えて対処できるようになりました。自身の障害を受け入れ、向き合っていくのは難しいことだと思います。
視覚障害で悩んでいる方や、辛い思いをしている方へこの記事が少しでも役立つことを願います。