障害を背負う原因は様々です。病気・交通事故・先天性など、誰も予想することができません。しかし、外で出会う障碍者は驚く程、元気で活動している方も多くいます。車いすユーザーで足が動かせなくても、手を自由に動かせなくても好きなクルマを運転しています。
今回の記事では。障害を持った方が自動車を運転する時の操作方法について紹介します。
想像ができない?
身体に障害がある方でも車の運転ができると知ったのは、高校1年生の時です。当時。中学の頃から仲が良かった先輩がいました。私と違って、先輩は歩行ができなかったので車いすを使用した生活をしていました。
「車いすでも、自由に出歩きたい」とよく話していた先輩は、学生生活を終え、自動車運転免許を取得するため、教習所へ通い教習で外に出るたびに家に帰宅するため路線バスを待っている私を見かけた。と話していました。
しかし、それに気付いていなかった私・・・というより先輩どうやってクルマを運転するの。というのが疑問になり、何度、想像してもイメージができませんでした。(想像力が欠けていたかも。)
初めて見た福祉車両
クルマを購入した先輩は、運転に慣れた頃「遊びに行こう」と誘いにきてくれました。私は、常に助手席に座って運転する先輩の姿に凄いなぁ。と思いながら運転操作を側でみていました。健常者の方は、足でアクセル・ブレーキを操作しながら、チェンジレバー・サイドブレーキ・ハンドル操作を行いますが、足に障害のある先輩は、操作を全て手で操作ができるができる車を改造していました。
愛車をマシーンと呼ぶ
どれくらいの時期だったかは覚えていませんが、成人を迎えて数年後、突然原因不明の足のしびれに襲われたことがありました。そして、時より触っている感覚が分からなくなり、寝ても起きても痛い。座るのもしんどい時期がありました。
かかりつけ医を受診し、様々な検査をしてもしびれの原因をつかめずにいました。ただでさえ、脳性マヒという障害があって日常生活を送る上で不便さを感じているのに、原因不明の足のしびれとも付き合わなければいけない。と思った時がこれまで以上に辛く、車の運転をする上で、安全運転よりも事故に繋がる危険が大きい。という判断で、福祉車両へ改造しないといけない悔しさがありました。
自身の中で現状を受け止めることは、時間が掛かりました。しかし、周囲の方の手厚いサポートのおかげもあり、少しずつ痛みとの付き合い方や愛車について考えられる様になりました。愛車を福祉車両にして、実際に戻ってきた時、アクセルも2つ・ブレーキも2つ・ウインカーも2つとあったので、先輩の運転するのを側で見ていたのに、自身のクルマで操作してみるとパニックの連続でした。
愛車を改造した後に免許取得で通っていた教習所から「困った事があれば、遠慮せず頼って下さい」という伝言をお願いされた。と聞いて、連絡を取ってみると操作ポイントを教わりました。改造して間もない時期に思っていたアクセルペダルが2つあること、ブレーキペダルが2つあるというのは、誤解だった。というのには慣れて解りました。
そして、クルマを福祉車両に改造してからは、体調の良い時は健康な方と同じように足で操作し、身体の調子がそれほど良くない時は手で操作するようになりました。私自身のマイカーをマシーンと呼んでいます。
シンプル操作であり難しい
福祉車両を運転することは、私自身にとって、とても難しい。というのが第一印象です。
健康な方が、クルマを運転する時は、アクセルを踏むと前身し、ブレーキで停止します。
きっと、初心者の時は怖いという気持ちはその時だけで、慣れてくるとそれは無くなり、自由に速度調整ができる感じですね。
しかし、福祉車両になると、前進と停止をするだけでも。感覚を掴むのに時間が掛かりました。足元にあるアクセル・ブレーキ操作ができる様に、金属棒やワイヤーで繋いでいるので、1つのレバーで走る・止まるができるのは、便利かなぁ。とは思ったけれど、やってみると急ブレーキと急発進の繰り返しでした。
時には、ゆっくり停止する場所で、力が強すぎて急ブレーキになり、両手首捻挫・左手の操作と右手のハンドル操作が合わなくて、駐車場に停まっている車にぶつけ警察官に「練習が足りないよ」と指導されました(恥ずかしいです。笑))
操作方法とイメトレ
障害を持つ方が運転するクルマは、障害の程度によって取り付ける機械も違ってきます。
本人が使いやすいものを選び、安全運転に努められる様にしなければいけない。という点が一つ挙げられます。操作方法は、下記の通りです。(イメージすると解りやすいですね。)
コントローラー操作方法
- 手前に引くとアクセル操作
- 前に押すとブレーキ操作
- 右手はハンドル操作
となります。(きっと記事を読む方も、えっ!と思う方もいるはずですが、これだけです。)
運転についての操作は、この動きが中心になりますが、人によって方向指示式を取り付ける事やクラクションのスイッチを付けている方もいらっしゃいます。
また、私も左手の方に麻痺がありますが、手の麻痺が気になる方はどのようなタイプがあるのか選ぶのも、重要ではありますがそれと同時にイメージトレーニングを行う事で、少しずつ上手くなったりします。私の場合は、運転をしない日は、イメージトレーニングで練習していました。
最後に
クルマの運転は障害を持っている方も、健常者の方も基本は一緒です。ただ、違いを上げれば福祉車両を運転しているというだけです。障害をお持ちの方が運転に必要なものを、取り付けているというだけです。他は何も変わりません。
これから福祉車両を運転する方がいるのなら、怖がらず練習してカーライフを楽しんで欲しいと願いたいです。