【障害者と創作】統合失調症の私が創作活動を通して病状が回復した話

【障害者と創作】統合失調症の私が創作活動を通して病状が回復した話

医学では「認知行動療法」と言って、精神疾患における病状の緩和や回復について、創作活動が有益な効果をもたらす場合があることが確認されています。ここでは私の個人的な体験を通して、障害者の創作活動について書いてみたいと思います。

絵

創作活動による病状の回復

私は統合失調症という精神疾患の一種に罹患しています。発病してから20年ほど経過していますが、幸いにも現在は担当の医師からも「安定している」との評価をいただいております。

 

病気にかかった当初は、「自分の人生はもう終わったのだ」と悲観していました。しかし前述の通り、現在では当時と比較すれば劇的な回復を見せています。ここには小説執筆やイラストを描くなどの創作活動が、大きく働いているのです。

 

創作活動との出会い

30代になった頃のことでしたが、投薬による治療で病状もある程度回復し、社会復帰を見据えてアルバイトをすることにしました。そこで業務委託の家庭教師派遣業へ登録し、何人かの生徒さんを受け持たせてもらいました。その中の一人に、読書好きの人がいたのです。

 

純文学からライトノベルまで、気に入った作品はジャンルを問わず読む人でした。そこでその生徒さんとのコミュニケーションを取るため、ウェブ上のブログなどに、説やエッセイなどの投稿を始めたのです。

 

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創作活動を始めてからの変化

その生徒さんは指導日のたびに、私の書いた文章への感想を言ってくれ、自分も「もっと書いてみたい」と思うようになりました。やっているうちに気がついたのですが、自分の感情を文章の中へ落とし込むと、不思議なことに気持ちが軽くなるのです。

 

たとえば、宿命を背負った主人公が苦しみと向き合う姿を描写すると、それに応じるように自分の心も晴れ渡ってくるのです。あとで知ることになるのですが、これは医学では「認知行動療法」と呼ばれるもので、精神疾患の回復などに効果があるということです。

 

認知行動療法とは?

より具体的に言えば、自分の気持ちを何らかの創作物へ落とし込むことで、自分の精神状態を「認知する」ということなのです。これが病状に対して良い効果をもたらす可能性があるのです。

 

アンガーマネジメントとして、自分の感情を紙に書くことで、マイナスの気持ちが軽くなるというやり方があります。これも広い意味では認知行動療法の一種であると見なせるようです。

 

画家ムンクのケース

「叫び」で有名なノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクも、現在で言う統合失調症だったと研究されています。彼は画家としてのキャリアを積む過程で発病しましたが、医師から治療の一環として創作を続けることをすすめられ、活動を通して回復を見せていきました。

 

実際に、有名な数点に及ぶ「叫び」は、いずれもムンクが発病後に描いたものです。彼は他にも、詩の執筆などもやっていました。このように、個人差はあるかと思いますが、創作活動が精神の安定に対し、良い影響を及ぼすことがあるのです。

ムンクイメージ

まとめ

障害者の創作活動と、それを通しての個人的な体験についてお話ししました。これはあくまで一例に過ぎませんが、こういうやり方やケースもあるということです。当事者の方で興味がおありなら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

浅田さんプロフィール

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