大腿骨頭壊死症・人工股関節と障害者手帳・障害年金について

大腿骨頭壊死症・人工股関節と障害者手帳・障害年金について

特発性大腿骨頭壊死症になって人工股関節を装着した場合の障害者手帳や障害年金などについてまとめています。

※この記事は、2019年10月16~17日に公開した「人工股関節を入れて身体障害者になるまでのこと その1~その5」のうち、障害者手帳や障害年金などに関する部分を大幅に修正・加筆してまとめたものです。

はじめに

今から約15年前、私は特発性大腿骨頭壊死症と診断されて人工股関節置換手術を受け、身体障害者となりました。

しかし、現在では人工股関節を装着したとしても身体障害者と認定されるのはよほど症状が良くならないケースに限られるようです。

ただし、身体障害者と認定されなくても初診日時点で厚生年金に加入していれば障害厚生年金(3級)の対象となる可能性が高いです。

また、人工股関節を装着しても症状の改善が見られず日常生活に著しい制限が生じると判断された場合には、障害年金2級が認定され障害基礎年金が支給される場合もあるようです。

身体障害者手帳

私が身体障害者となったのは、特発性大腿骨頭壊死症と診断され人工股関節(人工骨頭)置換手術を受けたおよそ15年前のことです。

手術を終えて退院し、必要書類を添えて市役所の障害福祉担当窓口で申請を行ったところ、1ヶ月ほどで身体障害者手帳(4級)が交付されました。

その頃は、人工股関節(人工骨頭を含む)を装着した場合には申請さえ行えば身体障害者4級(両足の場合は3級)が認定される状況だったのです。

しかし、現在では大腿骨頭壊死症などの治療のために人工股関節を装着したとしても、身体障害者と認定されることは少なくなっています。

これは、身体障害者の認定基準の一部が2014年(平成26年)4月から見直されたためです。

その背景には、技術の進歩によって人工関節の性能が良くなり日常の生活に支障をきたすことが少なくなった、というお医者さんたちの見解があるようです。

これにより、現在は人工股関節置換手術を受けて経過が安定した時点での関節の動きや筋力などにより4級・5級・7級のいずれかに認定されるか、もしくは非該当とみなされることになっています。

4級・5級と認定されるのは、股関節の動く範囲(可動域)が決められた角度以下であったり、自力で足を持ち上げる筋力が不足していたりして、足の動きが悪かったり、ほとんど歩けなかったりする場合です。

言い換えれば、身体障害者4級もしくは5級に認定されるのは、人工股関節置換手術を受けたけれども症状が良くならなかった場合に限られるということです。

身体障害者手帳が交付されるのは6級までですから、非該当と判断された場合や7級と認定され他に障害のない場合は障害者手帳が交付されず、税金の減免や各種料金の障害者割引といった手帳のメリットを受けられないことになります。

したがって、人工股関節置換手術が成功した場合、すなわち多くの場合は人工股関節を装着しても障害者手帳は交付されないと考えておいたほうがいいかもしれません。

ただし、この身体障害者手帳の制度と後から述べる障害年金の制度はまったく別のものですので、身体障害者手帳が貰えなかったからと言って障害年金も貰えないというわけではない点には注意が必要です。

また、2014年4月以前に人工股関節を装着し、すでに身体障害者の認定を受けている人の場合は、この基準見直しによって等級が引き下げられることはないそうです。

障害厚生年金

先ほども述べたように「身体障害者」と「障害年金」はまったく別の制度です。

したがって、大腿骨頭壊死症などの治療で人工股関節を装着した結果、症状が十分に改善され身体障害者と認定されなかった場合でも、障害年金が支給されることはよくあります。

また、「身体障害者」と「障害年金」とでは等級も異なります。

身体障害者のほうは4級・5級・7級、非該当のいずれかとなることを上で説明しましたが、人工股関節(人工骨頭も含む)を装着した場合、障害年金は一般的に3級が認定されることになっています。

なお、障害年金の3級という等級で年金が支給されるのは障害厚生年金だけです。

ですので、初診日(診断された日ではなく症状が出て最初に受診した日)の時点で厚生年金に加入していない場合は3級の障害厚生年金は支給されません。

ただし、人工股関節を装着しても症状が良くならず、日常生活に著しい制限が生じる場合は2級と判断される可能性もあります。

2級であれば、国民年金にしか加入していなかった場合でも障害基礎年金が支給されます。

障害年金を受け取ることができるのと受け取れないのとでは大きな違いがありますから、判断が難しいようなケースでは社会保険労務士などの専門家に相談してみるのもいいかもしれません。

医療費について

特発性大腿骨頭壊死症は国の指定難病(特定疾患)に指定されており、症状や世帯の収入あるいはかかった医療費などの条件によっては医療費の助成を受けられる場合があります。

この手続きは保健所で行います。

私も人工股関節置換のための入院・手術をするときには医療費助成の申請を行い、自己負担は数千円程度で済みました(差額ベッド代は除く。まず3割負担で支払っておいて申請が通ってから差額を返金してもらいました)。

最後に

この記事では、特発性大腿骨頭壊死症・人工股関節と障害者手帳・障害年金について説明しました。

人工股関節置換の入院・手術体験談や手術後の生活については↓の記事をご覧ください。

人工股関節置換手術体験談と手術後の生活について

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