視覚障害は視力が悪いことだけを指すのではありません。
それは、ただの思い込みです。
実際には多くのバリエーションがあります。
ここでは、そのうちの一つを紹介します。
はじめに
「視覚障害」
この言葉を聞いて何をイメージしますか?
目に障害がある、物が見にくいといった感じのことではないでしょうか。
確かに間違いではありません。
しかし、これらのイメージの大半は「視覚障害=視力に問題がある」という思い込みから来ている感じがします。
今回は、それだけじゃないんだよというお話をしたいと思います。
視力か視野か
みなさんも小学生くらいのとき(思い出せないくらい昔になりつつありますが)、年に1回視力検査をしませんでしたか?
「C」のアレです。
結果が良くなければ眼科を受診するように言われたはずです。
ちなみに、私は眼科を受診するまでがワンセットになってましたけどね。
これは「視力」検査ですから、もちろん視力の良し悪しを判断するわけです。
そして、どんどん悪くなっていけばメガネをかける必要が出てくるとか、最悪、矯正しても(メガネなどを使っても)ほとんど物が見えなくなるといったことが考えられます。
こういったことが生活に支障が出るくらいまで進行しているのが視覚障害だと思っていますよね?(ほぼ、断言しますが)
ですが、視覚障害はそれだけではないんです、ハイ。
視覚障害には、今あげた視力に関することも含まれるのですが、もう一つ含まれることがあります。
それが「視野」に関することです。
よく考え方の視野が広いとか狭いとか言ったりしますよね。
これが障害になると本当に目で見える範囲が狭かったり欠けていたりするのです。(私は狭い方です)
要は何が言いたいかというと、
「視覚障害には大きく分けて視力と視野に関するものがあるんだよ」
ということです。(ぜひ、覚えて帰ってね!)
実際はこんな感じ
一方的に「視覚障害には視野もあるよ」と言われても、イマイチ分かりづらいと思うので実際にどんな感じで見えているのか話しておきますね。
私が今見えている範囲は、検査の結果などから推測すると50円玉の穴から10円玉くらいのサイズの間だと思われます。
つまり、見えている範囲がメチャクチャ小さい、もしくは狭い(どっちでもいいけど)のです。
ただ、私はメガネのかけているのですが、調子のいいときで0.8~0.9ほどの視力があります。
そのため、人にはもの凄く伝えづらい状況に陥っています。
簡潔に言ってしまえば、
「見えないのではなくて、見えていない」(これでも十分分かりにくい)
となります。
先ほども話しましたが、視力は生きているので見えている範囲の中で遠くの物や景色などは認識できます。
しかし、視野が狭いのでそれらに近づいていくと、どんどん周辺が消えていきます。
物に至っては近づいているはずなのに見失うことも多々あります。
ひどい場合は、直前まで目にしていたのにちょっとでも視界から外れると「ないもの」と判断してしまいます。(おかげで忘れ物が増えて困ってます)
言われるまで、自覚できません!
ここまで視野が狭いことについて説明しましたが、正直、自分自身そういう状態になっていると医師から伝えられるまで全く自覚できていませんでした。
何しろ、視力はそこそこあるので見えている範囲で物は認識できますし、人と視野が狭くなったかどうかなんて話をしないですしね。
医師に視野の状態について告げられてはじめて、いろいろ思い当たる節が出てきて何となく飲み込めたといった感じでした。
一番状態がヒドイんだと実感したのが障害手帳を受け取ったときです。
私は前にも話したかもしれませんが、視覚障害で等級が2級となっています。(視野でこの等級を取れるのはかなりスゴいらしい)
そして、その手帳の中に
「網膜色素変性症による視覚障害 両眼視野10度以内かつ両眼視野損失率95%以上」
という文言が書いてありました。
「損失率95%」
かなりのパワーワードです。
「それ、もう見えてないんじゃない!」とツッコまざるを得なくなります。
この記事書いている今でもちょっと引くくらいです(笑)
ただ、この文言のおかげで自分が危機的状況におかれていることを肌で感じることができ、行動するきっかけになったのは確かです。
しかし、確かではあるんですが、それでもやっぱりこんな状態で物が見えているのが不思議でならないです。(一応、受け入れているつもりではいるんですよ)
さいごに
最後に補足説明みたいになるのですが、私は周辺視野が欠損して中心視野が生きている、いわゆる「視野が狭い」状態です。
しかし、これとは逆で中心が欠損し周辺が見えているという状態も病気によってはあるそうです。
また、私は病気のおかげで普通のメガネや裸眼の状態だと眩しいところや暗いところで物を見るのがキツかったりします。
これらも程度がひどくなると視覚障害として認められ手帳が受け取れる場合もあるそうです。
つまり、視覚障害と一口にいっても様々なバリエーションがあるのです。
これは視覚障害、それどころか障害といったものに限らず多くの物や事柄に当てはまることだと思います。
多くの物や事柄には様々な側面があり、私たちが見ているのはほんの一部に過ぎないのです。しかし、その一部を全体だと思い込み、全てを分かったような気になることは誰しもが経験したことがあるはずです。
そして、そんな経験をしているのがダメとかではなく、思い込みで物事を見ている部分があることに気づけるのが大事だと思います。
気づくことができれば、今まで見ていた世界とはちょっと違った世界が広がっているのではないかと私は強く思います。
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